建物の外壁にはさまざまな種類がありますが、その中のひとつにサイディングというものがあります。モルタルを塗る必要がなく、ボード状になっているためサイディングボードとも呼ばれます。もともとボード状になっているサイディングですが、劣化を感じた場合などに塗装は必要なのでしょうか?
サイディングに塗装は必要?
サイディングはモルタルを塗るような作業を行わないため工期が短い、さまざまなデザインの製品を選べるなど、近年の外壁仕上げでは主流となっています。ではサイディングが劣化した場合には再塗装は必要なのでしょうか?
サイディングへの塗装の必要性
家の外壁用のサイディングボードには表面に塗装がされており、防水性が高めてあります。しかし家を建ててから月日が経つと雨や風、紫外線などにさらされた外壁は色あせてきたり防水性が低くなったりしてくるでしょう。
サイディングボードの場合、水が浸透してくると反りが発生してしまったり、建物に水が浸入してしまったりと雨漏りや木材の腐食といった原因になります。劣化してきたら再塗装が必要といえるでしょう。
どんな劣化が発生するのか
日ごろ外壁を見ていて気になる点があれば劣化のサインかもしれません。サイディングボードの場合、色あせ、剥がれ、ひび割れ、サビ、カビや藻の発生、触ると粉が手につくなどの現象が起こっていたら再塗装を検討しましょう。
サイディングの塗装にかかる費用
建物を建ててからある程度月日が経過すると外壁以外のところでもリフォームしたいところがあるかもしれません。ほかの場所のリフォームも考えつつサイディングの塗装費用とのバランスを考える必要があるでしょう。
自分で塗る場合
塗装する費用を少しでも節約したいという場合は自分で塗装できます。塗る面積を200平方メートルとすると30万円以上かかると考えるとよいでしょう。DIYが趣味という方はある程度道具がそろっている場合もありますが、ない場合は材料以外にも道具も必要です。
塗料、刷毛、ローラー、マスカー、シーリング材などが必要です。また高い場所を塗るには足場も必要になるでしょう。自分で塗る場合、費用は安くすみますが、プロと比較すると、技術不足により塗りむらができやすく結果的に劣化しやすくなってしまう可能性があります。よっぽどのこだわりがなければプロに塗装を依頼した方がよいでしょう。
業者に依頼する場合
業者にサイディングの塗装を依頼する場合、塗る面積で200平方メートルにつき70万円以上かかるとみておくとよいでしょう。外壁塗装の費用面で大きく変わるのが、どんな塗料を使うかということです。アクリルやウレタンはコスト面ですぐれていますが、耐用年数が3年から7年程度と短めになっているので長期的なトータルコストはよいとはいえません。
シリコンは7年から10年ほど耐用年数があります。フッ素や光触媒などは耐用年数が15年以上と長めですがその分費用が高くなります。費用、耐用年数、効果などを比較して塗料を選びましょう。塗料代以外に足場代や洗浄代、人件費、そのほか材料費がかかるでしょう。
サイディングの塗装の流れ
サイディング塗装を業者に依頼する場合、どのような流れで進むのでしょうか。簡単な流れについて解説します。
下準備
・高圧洗浄
塗料を塗布する前には、まず外壁の汚れを落とす必要があります。ごみ、カビ、こけ、劣化した塗装の膜などを高圧洗浄機で洗い流します。しっかり洗浄を行うことで塗料を密着するようにします。
・養生
塗料が余分なところについてしまわないよう、養生をします。
・コーキング処理
壁にひびがある場合、コーキング処理を行います。劣化した部分を剥がしたりひびの部分に詰めものをしたりしておきます。
塗装スタート
・下塗り
下準備がおわったら下塗りからスタートします。塗料がしっかり密着するよう下地をきちんと塗っておくことで仕上がりに差が出るでしょう。
・中塗り
下塗り、上塗り間に挟む工程です。適切な塗り回数は塗料の種類にもよりますが、3度塗りを行った方が美しく、しっかり塗装できるため中塗りを行ってくれる業者を選ぶのがおすすめです。
・上塗り
仕上げに塗る工程です。塗りムラが出ないようていねいに作業を行います。
塗装以外の方法もある
サイディングが劣化してきたと感じたら、再塗装を行う以外にも対処法があります。塗装するより費用が高額なのでどの方法を取るかはしっかり考える必要があるでしょう。
重ね張りは既存の壁の上に新しいサイディングを重ねる方法です。重ねて張るため撤去費用があまりかからないというメリットがあります。張替えは文字通り、新しいものへと張替える方法です。建物への負担は少ないですが、最も高額な対処方法です。
まとめ
近年の住宅の外壁はサイディングボードが多く使われています。色あせがなくても防水効果が薄れていたり塗料が剥がれてきたりすることもあるので、ある程度年月が経過したら再塗装を検討する必要があります。
塗料によって耐用年数や費用が異なるため、塗装業者に相談したり見積もりを出してもらったりしながらどんな塗料を使うのか決めていくのがおすすめです。耐用年数と費用、効果などのバランスをチェックしながら最適な塗料、塗装方法を選びましょう。